2003-11-16 塞ぎ込み ヤミ その人はどうしようもなく偏屈な奴だった。 胡散臭さもここまで高まると腐臭と呼ぶしかなかった。それでも僕は陰でその人を尊敬していた。ある時彼は僕に気付いた。 見ていることしかできんのか,と罵った。彼の言うことは悉く尤もで, 僕の思いを満足させるに相応しい内容だった。 でもなぜか同時に,違和感も覚えていた。気が付けば五時間経ち, 僕が満足して彼のところを去る時, 僕は二度と彼を追うまいと思った。あいつはろくでもない奴ではなかった。 だから結局,ろくでもない奴だったのだ。