塞ぎ込み

その人はどうしようもなく偏屈な奴だった。
胡散臭さもここまで高まると腐臭と呼ぶしかなかった。


それでも僕は陰でその人を尊敬していた。


ある時彼は僕に気付いた。
見ていることしかできんのか,と罵った。


彼の言うことは悉く尤もで,
僕の思いを満足させるに相応しい内容だった。
でもなぜか同時に,違和感も覚えていた。


気が付けば五時間経ち,
僕が満足して彼のところを去る時,
僕は二度と彼を追うまいと思った。


あいつはろくでもない奴ではなかった。
だから結局,ろくでもない奴だったのだ。